げーむふぁくとりぃ

裏話 [ 第3回 本作の製作過程について] ※本編のネタバレ含みます



 第3回目です。
今回は、本当に裏話チックな内容です。
このゲームの制作過程について書きます。


 このゲームのコンセプトは何か?

実は、
 「 面白いカードゲームを 一人用ゲームにしたもの 」
では無いんです。

 「面白い一人用ゲームを作ろうとしたら たまたまカードゲームになった」
なんですね。


 何度か話していますが、私はシナリオを作るのが一番好きです。
ゲームシナリオとキャラ絵を考えてるのが楽しくて、
残りはどっちかっていうと面倒なんですよ。


 ― 本作の制作過程 ―


・「病弱で優しい女の子が実は黒幕でラストバトル、ってのをやりたい」

・「あと、ライバルで明るくて好戦的な幼なじみの女の子を出したい」

・「学園ものにして、全国大会をやりたい」


 出発点はこれだけでした。


 というわけで設定。

・アヤメ(初期設定ではプルート団の真のリーダー)
・クスラ(初期設定では幼なじみ。子どものころから主人公のライバル)
・学園もの
・全国大会


 これらのシーンが入って、面白くなりそうなゲームシステムってなんだろう?
と、考えた結果。
 じゃ、カードゲームにしよう、となりました。


 ええ、そうです。
私はもう、
女の子を強敵キャラにして、クライマックスで対戦するシーンを
書きたいだけの人なんですよ(笑)


そのシーンをどれだけ格好良く演出するか、ということにこだわり、
そのシーンのためだけに世界観・バトルシステムなどを考え、
そのシーンから逆算してシナリオを書いていきます。

 つまり本作のカードゲームは、
アヤメ戦・クスラ戦のためだけに存在したシステムといっても
作者的には過言ではありません(笑)


 ただ、実際にカードゲームを作ってみたところ、
本作のシナリオは短くてあっさりしてる方がいいのでは?
という逆転現象が起こり、
裏話Aで話したようにシナリオの再考が行われ、
大幅な簡略化となりました。
テーマも「少年の心」という内容に変わり、単純明快なシナリオに変更。

 アヤメはプルート団とは無関係になり、
クスラが幼なじみという設定も消えました。


 みなさんから いだたいた感想や意見を読んだかぎり、
カードゲームとして高い評価を受けていたのは、
けっこう驚きでしたね。
 実際カードゲームにかけた時間が最も長かったのは確かですが、
作者的には、本作のカードデザインも
シナリオを彩るパーツのひとつなんですよね。
なので、既存のカードゲームと比較していただけるのは
とてもとても嬉しい反面、
シナリオのパーツとして考えていたのに、
こんなに評価されちゃっていいのかなー、っていう(笑)

 最初に書いた通り、私は本作を 
 「 面白いカードゲームを 一人用ゲームにしたもの 」
とは捉えていないんですよ。
 「 一人用ゲームとして面白さを詰めていったらカードゲームになった」
んです。

 なので、ときどき「このカードは対人戦だと問題がある」
という意見をうかがいますが、
私としては、対人戦はまったく想定してません。
一人用ゲーム専用のバランス、
正確に言えば、「シナリオを盛り上げるためのバランス」なんです。


 アヤメのデッキが最強、というのは一番重要なところで、
ルールを考える際に「アヤメ」のカードの効果も同時に考えてました。
「レベルを順番にしか上げられないゲームで、いきなり最強レベルを
 出して来たら、そのインパクトは絶大だろう」
と考え、トランスタイムというルールが誕生しました。

 クスラの「天星」カードは、
細かいコンボが組めないCPUでも、それなりに強さが出せるような
性能に設計しました。
カザハルが弱いのは、「海星」がCPUだと扱いにくいためです。
相対的にクスラが強く見えれば、それでいいだろう、と。

 また、ヒロインキャラとして重要な「モロハ」を
プレイヤーの印象に残るようにするため、
「月星」は対戦時間が長めになる性能にしました。
「「モロハ」を使います」というメッセージが
何度も出現するように設計したのも、「モロハ」というキャラクターを
プレイヤーに覚えてもらうためなんです。

 強制戦闘が最多の4回もある、ライバルのアクアマリーの「水星」も、
モロハの「月星」と同じ原理で、対戦時間が長引くようなバランスにしました。
「「アクアマリー」を使います」というメッセージを
多く流すためですね。

 ヒョウコの「コールド・ザ・ゼウス」が、
強すぎないか?と感じた人もいると思いますが、
生徒会長との決戦という燃えるシチュエーションで、
相手のコンボ失敗で楽勝、なんてのはマズいだろうと考え、
多少ヒョウコの手札が悪くても接戦になるよう、
高性能のカードにしました。一応レア度も5だからいいかな、と。

 こんな感じで、シナリオを盛り上げる演出を考えながら、
カードバランスを設計していきました。

 結局シナリオは大幅に削ったので、
本作のセールスポイントは、カードゲームの部分となりましたが、
シナリオで一番やりたかった部分は残ったので、作者的には満足です。

 私の本作へのイメージとしては、一言であらわすと、
「対戦がカード形式の 学園ものRPG」
というのが、一番しっくりくる表現な気がします。



 今回言いたかったこと まとめ

@ 本作はシナリオから考えたゲーム
A 一番やりたかったのはアヤメ戦とクスラ戦の演出
B 一人用を意識したカードゲームバランス
C シナリオを盛り上げるためのカードゲームバランス
D 本作の主役はシナリオ(の予定だった)